5月から、世田谷本店ではテイクアウトのバゲットサンドウィッチやクラフトビールなどの販売を開始しました。店内でも楽しんでいただけます。
今回は、全粒粉バゲットで無添加のハムをサンドした「ジャンボン ブール」や季節のサンドウィッチのお供にぴったりな、新潟県十日町市で、地元に愛されるクラフトビールを製造している、【妻有ビール – Tsumari Brewing -】 さんの特集vol.02(全2回)です。
前編の vol.01 ブルワリー設立の軌跡 はこちらです。

ブルワリーの 1日のタイムスケジュールを教えて下さい。
日によってさまざまですが、
木曜日に樽への充填や瓶詰作業、金曜日にタンクの洗浄と仕込の支度、土曜日に仕込、日曜日に片付け
月曜日にホップの畑というのが最近のスケジュールになっています。
仕込の日だと午前中に糖化、午後から煮沸、冷却、発酵タンクへの移送、酵母添加、後片付けといった感じでしょうか。
ホップの畑も!
妻有ビールの特徴や地元の方、観光の方の反響はいかがですか?
妻有ビールの定番3種については、まずクラフトビールを飲んだことがない方にも飲んでいただきやすいような味わいを意識して作っています。
定番3種類は、世田谷本店でもご用意している
● 豪雪ペールエール
と、以下です。
● めでたしゴールデンエール
オレンジピール入りでドライホッピングの香りや、ホップ由来の苦味が特徴的。
● 十日町そばエール
十日町産そば「とよむすめ」をローストして使用。後味にそばの香ばしさが残るビール。
着物のまち十日町市の、縁起物をあしらった織物のラベルデザインも素敵です。
十日町市では最初のビール醸造所でしたので、これまで大手のビールを飲んでいる方々が多いなかで個性的すぎず、でもいつものとは違うというところを目指して構成しています。
醸造所の近所のお父さんお母さんたちが飲めるビールが大前提でした。
ドキドキの地元でのお披露目会となりましたが、すんなりと「こういうのもありか」と受け入れていただけて正直ほっと胸をなでおろしたのは鮮明に覚えています。
逆にクラフトビールファンの方々からするとちょっと物足りないという意見が多かったと思います。
まずは、地元を大切に十日町の方々を意識して、展開していったのですね。
クラフトビールのすごさを感じたのは、遠くからも購入や見学に来ていただく方がいたことです。
一番遠いところでは名古屋からの方がいらっしゃいました。
県内でも新潟市や新発田市からお越しのお客さまもいらっしゃいます。
本当にありがたいことだと思います。
クラフトビールの人気がうかがえます。
こだわりの原材料や地場産の材料について教えて下さい。
定番品の十日町そばエールには十日町産のそばの実を利用しています。
また、お隣の柏崎市の小麦と十日町市の里山に咲くあんにんごの花をつかったビールなど、地域の資源をつかったものに取り組むようにしております。
地域に、豊富な資源があるのですね。
妻有の土地の特徴はクラフトビールづくりにどのような影響を与えますか?
水のおいしさはビールの重要な土台になっていると思います。
また里山にはあんにんごの花をはじめとして豊富な資源もあります。
農業と密着した地域であることも、小麦を手に入れることができたり大きなメリットだと思います。


日々、発酵と向き合っていて、いかがですか?
外気温はあまり影響ないという方もいますが、雪に埋もれる妻有の環境では発酵にも影響していると思います。
あまりにも寒い日はエアコンをつけておき、タンクには断熱材を巻いて温かくしておかないといけないこともあります。
製品をつくるというよりは、生き物のお世話をするという感覚のほうがしっくりくる気がします。
仕込みをした次の日に発酵が順調に始まっているのをみるとほっとしますし、あー生きているんだなあと感じますね。
パンづくりにも通じます。
妻有地区ではかつてホップの栽培もおこなわれていた歴史もあり、当時ホップ栽培にかかわっていた方にヒアリングもしてホップ栽培にも取り組んでいます。
あとは地元のものを応援してくれる人の多さ。
いままで知らなかった新しいものであっても、まず手に取って試してくれ、なんとかやっていけるように皆さんが応援してくれるこのことは特別だと思っています。
妻有地区にホップ栽培の歴史があったというのは、驚きです!
ホップの栽培について教えて下さい。
ホップの畑は大変苦戦をしておりまして、3年目にしてやっと収穫ができ、ビールが完成いたしました!
その畑も耕作放棄地を耕してもらい栽培を行っております。
妻有地域では昭和30年代に大規模にホップ栽培をやっていたことがありビール醸造とも無縁の土地ではないと分かったときはとても嬉しかったです。
無農薬、無化学肥料でやってみていますが、まだまだ試行錯誤の最中です。
ホップから良質なパン用の酵母が取れるとのことで、パン屋さんからのお問い合わせもいただいております。



地域の自然環境を大切にされているのですね。人にも酵母などの微生物たちにとっても優しいですね。
ホップとは
ハーブの一種で、ビールに香りや苦味などの風味付けをする、麦芽と並ぶ主原料のひとつ。ホップの成分には雑菌を抑制して保存性を高める役割もあります。
パンづくりに使用する酵母「ホップ種」とは
ビールを連想させる軽い苦味とアルコールの香りがします。
ビールの原料としておなじみのホップのみを煮出し、その液に米麹を加えて麹菌の力を利用して発酵させるものです。酵母の栄養として、マッシュポテトやりんごのピューレなども加えます。仕上がった種にはビールを連想させる軽い苦味とアルコールの香りが有り、酸味や甘味はそれほど感じられません。
ビールづくりのおおまかな工程
全行程で1.5ヶ月ほどかかります。
① 麦芽を機械で細かく粉砕する。
② 砕いた麦芽とお湯を混ぜて、かく拌しながら温度を上げていき麦汁をつくる。
でんぷんが糖分に変わり(糖化)甘い汁になります。
③ 麦汁にホップを加え、煮沸して苦味や香りを出す。
④ 冷却して発酵タンクへの移す。
④ 麦汁に酵母を入れて、アルコール発酵をさせる。
・・・ 製造の過程で、麦芽とホップの絞りカスが出ます。
⑤ 熟成させる。
⑥ 樽に充てんする。
最初の仕込みのときから麦芽カスやホップカスの再利用をしておりまして、現在では柏崎市の小麦をそだてている方に引き取っていただき、地鶏のエサにしていただいたりたい肥に活用いただいております。
工場からでるゴミは家庭ごみよりも少ないかもしれません。
すごい!家庭ごみより少ないのですね。
再利用に対するお取り組みなど、素晴らしいです。
グラウラー・瓶詰めなどのお話もお聴きしたいです。


当初は業務用の樽のみの販売でスタートをしたのですが、近所のお父さんからのリクエストで持ち帰りができるようにグラウラーでの販売を開始しました。
そんなに需要がないかな、と思っていたのですが、思った以上の反響がありおかげ様で今では重要な販売方法の一つとなっております。
お客様からの声では、瓶のゴミがでないことがとても気持ちいいというコメントもあり、なるほどとこちらが気づかせていただきました。
瓶ビールの販売がスタートしますと、関東、関西など遠くの方々よりご注文いただきとてもありがたく感じております。
おいしい地産の妻有ビールを通じて、循環型の製造や提供方法などを、妻有地域の身近な皆さんの声や協力でつくりあげ、近隣地域・全国へ輪が拡がっていくというのがとても有機的で素敵です。
仕込みや洗浄の過程でたくさんの燃料と水を使う事業ではありますが少しでも循環型につなげていきたいと思います。
このたび4月より新入社員をとうとうお迎えしまして新しい力もかりていろいろな取り組みをしていけたらと思います。
地域に根付き、自然や人の恵みをうけて、歩む妻有ビール。
その土地の記憶、人々の叡智を詰め込んだ、魅力満載のクラフトビールです。
今回は、オンラインで取材にご協力いただきましたが、いつか、シェフ志賀のルーツ、故郷でもあるその土地を訪問したいです。

シニフィアン シニフィエ 世田谷本店では、豪雪ペールエール をお取り扱いしています。
店内でもご提供していますので、妻有に思いを馳せながらクラフトビールとシニフィアン シニフィエのパンをいただく贅沢な時間をお過ごしください!

全粒粉バゲットで無添加のハムをサンドした「ジャンボン ブール」
✜ ✜ ✜
🍺 醸造家 高木さんイチオシのペアリング

● 豪雪ペールエール × シニフィアン シニフィエ
基本的な味でオールマイティーではありますが、
バケットでも全粒粉のものや、ドイツ系のパン、パン オ ヴァン、フィグ エ フィグが合いそうです!

● 妻有ビール × 十日町の食材
なんといってもおすすめは雪国Baseのジビエのハムとソーセージです。
特にジビエのハムとシニフィアンシニフィエさまのパンと妻有ビールを合わせたいです!
妻有ビール 高木さん、ありがとうございます!
妻有ビール株式会社 Tsumari Brewing

〒942-1527
新潟県十日町市太平字塚上り474-1
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