【みんなの「未来」にできること】vol.01 決断と棄却

シニフィアン シニフィエとして食の安全や環境などの課題に対して、子どもたちの未来のために何ができるのか・・・。
様々な視点から、解決のための考えや想い、取り組みについて綴っていきます。


2020年10月 師匠から受け継いだ北米産の小麦粉の使用をやめ、国産小麦やフランス産オーガニック小麦へときりかえることにしました。

北米では刈入れをする前の小麦に除草剤グリホサートを大量に散布[1]することがあること。
また、2017年12月には小麦に残留したグリホサートの基準値が5ppmから30ppm へ6倍にまで大幅に規制緩和[2]されていたということ、一部の雑誌などで残留農薬を取り上げ問題になっていることを1年程前に知りました。

[1]小麦の収穫前に散布(プレハーベスト)することで作物を枯らし、収穫しやすくするために使用します。
[2] 「食品、添加物の規格基準の一部を改正する件」(厚生労働省)

【医食同源】食べて健康になるということをずっと大切にしてきたので、この事実を知りながら、使い続けることはできないと思いました。

なぜ今きりかえたのかというと、シニフィアン シニフィエをはじめて、5年目、10年目と常に新しいことに挑戦を続けてきて、今年で15年目。

この節目の年にもし、このまま何もしなければ、きっと僕はこの問題にたいして、今後も何もしないかもしれないと思った。

ちょうど、コロナ禍で色々なことをゆっくり考える時間もあった。

これまで、「やれたらいいな。やろうかな。」と思っていたことを「全部きっちりとやっていこう。」そんな風に思って、色々と発信していくことにしました。

スーパーで買い物をするとき、それを食べてくれる家族や友人みんなが元気に1日頑張れるように、「おいしいね。」と笑顔になるように。
そんなことを思いながら、買い物をする。
その買物が全て、本当に安全なものであってほしい。

自分がずっとパンを焼き続けているのは、
パンが、
ちょっとの幸せ
ちょっとの笑顔
ちょっとの健康につながれば・・・
そんなちょっとのやりがいが嬉しいからなんだと思う。

僕は緩和された残留基準値を元に戻してもらいたい。
刈入れ直前に除草剤グリホサートの散布をやめてもらいたい。
グリホサートの健康被害や環境への影響について指摘されている。
世界では使用規制や禁止の動きが広がっているのに、日本は残留基準値を緩和するなど世界の流れに逆行している。

僕には日本全国にパンを作っている友人がいっぱいいる。
1人で作っている人。
3人くらい、
10人くらい・・・

大手のパン屋さんにもたくさん友人がいて、みんな素晴らしく、いい人で真面目で僕よりもずっと、パンを愛している。
みんなが美味しいパンを作りたいと思っているし、作っている。
彼らに安心安全な小麦を届けてほしい。
そして、もっと美味しいパン作りを競っていきたい。

未来のためにできることをしていきたい。
こう思う人が僕一人でないことを信じて、僕は進む。

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シェフ 志賀 勝栄